ダラス住宅市場が買い手有利に!?
2025年は、テキサス州のダラス・フォートワースエリア(DFW)の住宅市場に大きな変化が起き
ました。これまで売り手に有利だった「売り手市場」から、買い手が交渉で優位に立てる「買
い手市場」へと移行しているのです。
背景には、住宅在庫の急増があります。2024年後半から供給過多の兆しは見え始めていました
が、2025年に入ってその傾向は一気に加速しました。2025年夏時点で、DFW全体の販売中物件数
は前年比で50%以上増加し、約12万3千件に達しました。これは過去10年で最も急速な供給拡大
で、需給バランスに大きなインパクトを与えています。特に郊外でこの変化は顕著です。例え
ば、コリンカウンティでは在庫が前年比64%増、デントンカウンティでは62%増と、供給の急増
が確認されており、市場供給(Months of Inventory)も4〜6ヶ月台に突入しました。これは、
一般的に「バイヤーズマーケット」とされる水準で、買い手が価格や条件交渉で優位に立ちや
すくなる状況を意味します。
さらに、住宅ローン金利は長期間6〜7%台で高止まりしており、新政権下での政治経済の先行き
不安も影響し、家の購入を見送る人が増え、買い手が減少しています。
それに伴い、販売スピードも鈍化しています。かつては数日で売れていた物件も、現在では平
均30〜45日以上のマーケット滞在期間が一般的になりつつあり、60日超も珍しくありません。
このような状況下では、売主が価格を下げるケースが増加し、リスト価格からのディスカウン
ト幅も拡大傾向にあります。
一方で、9月に入ってから徐々に金利低下の兆しが見え始めています。それに伴い、購入を見送
っていた買い手たちが市場に戻ってくるのか、今後の動きから目が離せません。賃貸料の高止
まりが続く中、マイホーム購入や投資を検討している方にとっては、今が購入を考えるチャン
スかもしれません。とはいえ、すべての物件が“お買い得”というわけではありません。立地
、築年数、将来的な賃貸需要など、冷静な見極めが必要です。金利の動きや在庫状況を注視し
ながら、慎重かつ戦略的な判断を心がけましょう。